朴葵姫(ギター)

南米独特の情熱や郷愁を描く


 ギター界で躍進を続ける若手・朴葵姫。多くの主要国際ギターコンクールでの優勝・入賞歴を誇り、2012年にはカーネギーホールで公演を行うなど、その活躍には多くの注目が集まっている。録音にも積極的な彼女の最新作が今月リリースされた『Saudade−ブラジルギター作品集−』だ。これまでの録音では、精確なフレージングとしなやかなトレモロを駆使して、ロマンティックな作品を滑らかに歌うイメージが強かった朴。だが、本作ではそうした持ち味に加え、ヴィラ=ロボス、ジスモンチ、ジョビンなどブラジル人作曲家の作品の数々に込められた南米独特の情熱や郷愁を巧みに描き出している。
 こうした彼女の新境地をぜひとも生で聴きたいという方々には、浜離宮朝日ホールで当盤の発売記念リサイタルをおすすめしたい。プログラムは、ジスモンチ「水とワイン」や、ヴィラ=ロボスの前奏曲や練習曲といった、アルバム収録曲が多数。そしてもう1曲、ぜひ注目して欲しいのがアルゼンチンの巨匠ヒナステラのソナタだ。今回ブラジル音楽に挑戦するに際し、先行して演奏会で取り上げたことで、南米音楽ならではの激しい曲想や変拍子を学ぶのに大いに役立ったという。繰り返し弾き込むことで、今や彼女の十八番のひとつとなったであろうこの傑作の最新像をぜひ確かめてみたい。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)

10/1(水)19:00 浜離宮朝日ホール
問:コンサートイマジン 03-3235-3777
http://www.concert.co.jp

【CD】
『Saudade-ブラジルギター作品集-』
日本コロムビア COCQ-85094 
¥2800+税