レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウは、三宮正満と福川伸陽中心のピリオド管楽器のアンサンブル。ピリオド楽器での傑作ピアノ五重奏曲はおそらく日本初。待望のアルバムだ。管楽の名手たちの演奏はいずれも貴重。なかでも福川のナチュラル・ホルンは面白い。音階でも均質ではなく、様々な音が聴こえて味わい深い。ベートーヴェンの緩徐楽章が聴きどころ。フォルテピアノの重岡麻衣の繊細な音色の使い分けもいい。ベートーヴェンは自らの腕を誇示するために主題はいつもピアノで始めるが、そこがまたチャーミング。モーツァルトは楽器の組み合わせが絶妙で、とても美しい。まさに耳の愉悦。実に楽しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年12月号より)
【information】
CD『モーツァルト・ベートーヴェン フォルテピアノと管楽器のための 五重奏曲/重岡麻衣&レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ』
モーツァルト:五重奏曲 変ホ長調 K.452/ベートーヴェン:五重奏曲 変ホ長調 op.16
重岡麻衣(フォルテピアノ)
レ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウ
【三宮正満(オーボエ) 満江菜穂子(クラリネット) 福川伸陽(ホルン) 村上由紀子(ファゴット)】
コジマ録音
ALCD-1213 ¥3080(税込)