めぐろパーシモンホール開館20周年記念 加藤訓子プロデュース スティーヴ・ライヒ プロジェクト

ミニマルの巨匠の傑作群に浸る稀有の喜び

 最小限の音型を反復させる「ミニマル・ミュージック」の先駆者にしてカリスマ、スティーヴ・ライヒの音楽は、聴く者を非日常的な音空間へと誘う。そこで注目したいのが、めぐろパーシモンホール開館20周年記念「加藤訓子プロデュース スティーヴ・ライヒ プロジェクト」だ。これは、日本屈指のパーカッショニストでライヒ演奏のトップ・ランナーでもある加藤が、巨匠のマスターピースを3日にわたって披露する企画。10月の小ホール公演では、代表作2つを独奏と映像+録音演奏との共演で聴かせ、マジカルで陶酔的な音響世界を創出した。

 来る12月には、大ホールで2公演が開催される。Day1「カウンターポイント・ライヴ」は、鍵盤打楽器を中心としたプログラム。ライヒが絶賛した加藤による編曲版(原曲は木管楽器)の「ヴァーモント」「ニューヨーク」の両「カウンターポイント」や「マレット・カルテット」といった作品が、マリンバやヴィブラフォンを主体に演奏される。鍵盤打楽器は加藤の本領。それに複数の俊英打楽器奏者が加わる今回は、唯一無二の音世界に浸り切ることができる。Day2「ドラミング・ライヴ」は、「4オルガンズ」「木片のための音楽」「ドラミング」と多彩な編成の看板曲が並ぶ“名曲集”。クラベス5組の「木片〜」や、打楽器に女声や口笛、ピッコロが加わる「ドラミング」(10月には加藤ひとりで快演を聴かせた)など、共演者たちとの絡み合いを含めた興味津々のライブを耳目双方で楽しめる。

 ライヒの傑作群をまとめて堪能できるこの貴重な機会を、くれぐれもお見逃しなく!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年12月号より)

Day1 カウンターポイント・ライヴ 
2022.12/10(土)
Day2 ドラミング・ライヴ 
12/11(日)
各日16:00 めぐろパーシモンホール 
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp