これまでで一番ライブ感溢れるリハーサルだった。
場所は東京バレエ団のスタジオ。元ボリショイ劇場芸術総監督のウラジーミル・ワシーリエフが、『ドン・キホーテ』のリハーサルのため来日。アシスタントには同バレエ団プリンシパルの斎藤友佳理が補佐する。主演の上野水香と柄本弾の20日本番を目前に控え、スタジオには鋭い声が飛び交う。
「全然音が分かってない!」「もっと早く!」「爪先〜ぃ!」
団員たちは注意を受けながらも、パ(ステップ)を止めることなく演技を続ける。まるで明日、コンクールに出場するかのような緊張感と臨場感。最高の作品を創るという熱意と気迫。
「バレエのパを忘れろ!」「踊りにならないで!」と叫ぶワシーリエフと斎藤。
「踊りの美しさを追求するのは日々のレッスン中にすることだ。役に入るにはすべてを忘れなくてはいけない」「きちんとやりすぎている」のワシーリエフの言葉にバレエの深淵さを痛感させられる。厳しい言葉の連続に身が引き締まる思いでいると、「ブラボー!」「良くなった!」「すばらしい!」の賛美が飛ぶ。
ワシーリエフは、ダイナミックな動きで演技の実演を見せながらパワー溢れる指導を見せ、私たち記者にも場面説明を細かくしてくれるところに人間味溢れる魅力が光る。主演の柄本の表情は活き活きと冴え、バジル初演を心から楽しんでいる様子。上野は、始終安定感ある踊りで魅了。公演はいよいよ19(金)スタート!
東京バレエ団『ドン・キホーテ』
9/19(金)19:00、9/21(日)14:00 ゆうぽうとホール
出/アナスタシア・スタシュケヴィチ ヴャチェスラフ・ロパーティン 他
¥14000〜5000
9/20(土)14:00 ゆうぽうとホール
出/上野水香 柄本弾 他
¥10000〜¥3000
NBSチケットセンター 03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp