10月31日、東京文化会館にて「東京・春・音楽祭2023」の概要発表会見が行われ、同音楽祭実行委員長の鈴木幸一、事務局長の芦田尚子、東京国立博物館館長の藤原誠、上野観光連盟理事長の長岡信裕が登壇した。
同音楽祭は2005年にスタートして23年が19回目。20周年を目前にした2023年の音楽祭は有料公演約70公演を予定し、3月18日から4月16日にかけて開催される。東京・上野の文化施設を主会場として、国内外のトップアーティストたちによるオペラや管弦楽、室内楽の公演が行われるほか、コロナ禍では中止されていた上野の街を舞台にした無料のミニ・コンサート「桜の街の音楽会」も、来年開園150周年を迎える上野公園を中心に行われる予定。
まず、鈴木実行委員長がコロナ禍での音楽祭について「2019年、20年と厳しい状況が続いたが、『続けることに意味がある』。来年は“リスタート”の意気込みを持って中止となる公演がないようにしたい。そして再来年は20周年。それに向けて弾みをつけるようなコンサートを企画していきたい」と述べた。また、20周年（2024）に向けて進めている企画について「ワーグナー指揮者として世界でもっとも重要なマエストロの一人マレク・ヤノフスキによる《トリスタンとイゾルデ》。セバスティアン・ヴァイグレ＆読響《エレクトラ》、プッチーニ・シリーズでは《ラ・ボエーム》、そしてリッカルド・ムーティの演奏会やアカデミーなども計画している。東京・上野の春を盛り上げるとともに、世界的な音楽祭に発展させていきたい」と期待を込めて語った。
そして注目のラインナップについて、芦田事務局長が「コロナで延期となっていた公演を含む有料公演約70公演を実施予定。無料公演『桜の街の音楽会』も復活させたい」と説明。巨匠リッカルド・ムーティによる若い音楽家のためのアカデミー「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」は、ヴェルディ《仮面舞踏会》を題材として、2年ぶりの開催が決定。音楽祭開幕日にはマエストロ自身による「作品解説」が行われる。先日募集が締め切られた指揮受講生には、約100名（24ヵ国、日本人約25名）の応募があり、そのうち5名がムーティより指導を受ける。
音楽祭の柱である「東京春祭ワーグナー・シリーズ」は、マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団による《ニュルンベルクのマイスタージンガー》で、東京春祭でおなじみのエギルス・シリンス（ハンス・ザックス）、初来日となるイギリス人の期待のテノール、デイヴィッド・バット・フィリップ（ヴァルター・フォン・シュトルツィング）らが出演。「東京春祭プッチーニ・シリーズ」はフレデリック・シャスラン指揮読売日本交響楽団で《トスカ》を上演する。《トスカ》でスカルピアを歌うブリン・ターフェルは、沼尻竜典指揮東京交響楽団との共演でオペラの名アリア等を披露する公演「Opera Night」にも登場する。「合唱の芸術シリーズ」では、日本デビューを飾るフィネガン・ダウニー・ディアー指揮で、ブラームス《ドイツ・レクイエム》を取り上げる。
そのほか、「歌曲シリーズ」や「東京春祭マラソン・コンサート」などの人気企画や、キット・アームストロング（ピアノ）の連続リサイタル、ホルン福川伸陽による古楽の公演など、見どころが盛りだくさん。オラフ・マニンガー（チェロ）やヤン・リシエツキ（ピアノ）など、海外勢を含むリサイタルも注目。そして待望となる樫本大進らベルリン・フィルメンバーの来日、初共演となる吉井瑞穂（オーボエ）＆ウェールズ弦楽四重奏団らの新作初演、ミュンヘン・フィルのコンサート・ミストレス青木尚佳（ヴァイオリン）らの弦楽トリオ、2023年に結成20周年を迎えるトリオ・アコード（白井圭vn、門脇大樹vc、津田裕也p）など、室内楽公演も充実している。また、堀正文（ヴァイオリン）、木越洋（チェロ）、藤森亮一（チェロ）ら名匠たちが、それぞれ次世代を代表する演奏家たちと共演するコンサートも音楽祭ならではの企画。
恒例企画「東京春祭 for Kids」、「ミュージアム・コンサート」など、幅広い年代の聴衆が楽しめるプログラムも多数。バイロイト音楽祭との提携公演「子どものためのワーグナー」では、同音楽祭総裁のカタリーナ・ワーグナーによる演出で《ニュルンベルクのマイスタージンガー》が上演される予定。
そして、前回も好評を博したライブ・ストリーミング配信は同様の価格帯で来年も実施、上野公園の開園150周年を記念したパブリックアートの計画など、様々な音楽祭の楽しみ方が用意されている。桜が満開となる季節に、歴史ある上野を舞台に開催される“東京春祭”。チケットは11月12日より順次発売される。
東京・春・音楽祭 2023
2023.3/18（土） 〜4/16（日）
https://www.tokyo-harusai.com
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