第529回日経ミューズサロン 前橋汀子 演奏活動60周年記念無伴奏ヴァイオリン・リサイタル

第一線で活躍し続けるヴァイオリニストが聴かせる円熟の世界

(c)篠山紀信

 ヴァイオリニストの演奏活動60周年。しかも第一線を維持してとなると、途方もない年数だ。その偉大な節目を迎えた前橋汀子。昨年から今年にかけての記念演奏会や録音では、瑞々しくも凛とした音色で、集中力の高い“達人の至芸”というべき名演奏を各所で聴かせている。近年は「前橋汀子カルテット」、日本経済新聞「私の履歴書」連載など、ますます多岐にわたる活動に取り組んでいる。

 そして記念の年を締めくくる12月、日経ホールで無伴奏リサイタルが開催される。パガニーニのカプリース第13、16、17番、そしてJ.S.バッハの無伴奏ソナタ第3番、パルティータ第3、2番という、驚くべき重厚なフルプログラム。ことにヴァイオリン音楽の頂点に立つバッハ3曲は注目で、柔軟なスタンスで臨みながらも訴求力の強い、重みのある練達の演奏が体験できそうだ。最後はもちろんパルティータ第2番で、終曲「シャコンヌ」は60年の経験が内包される名演になるはず。前橋のメッセージと芸術家としての在り方、しっかり体感したい。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年11月号より)

2022.12/16(金)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://stage.exhn.jp