Festa! 大演奏会 『日本のヴァイオリン史 楽器の誕生から明治維新まで』出版記念コンサート

3時間半で紐解く知られざる作品の数々

 現役ヴァイオリニストとして初めて東京大学大学院に入学、博士号を取得し、現在は同大学で非常勤講師も務めている梶野絵奈。その研究成果をまとめた書籍『日本のヴァイオリン史 楽器の誕生から明治維新まで』が出版されるのを記念して、Hakuju Hallで自ら演奏会をプロデュースする。出演者は指揮・ピアノでゲスト出演するアルフレド・パール以外すべて女性演奏家という約3時間半のコンサートは3部構成。

 第1部は「実力派女性奏者たちの競演」と題し、パール指揮の室内オーケストラが、モーツァルトと同時代の女性ヴァイオリニスト、レジーナ・ストリナサッキのヴァイオリン協奏曲の日本初演を行うほか、ハイドンの交響曲第59番「火事」、シュニトケの「Moz-Art à la Haydn」を披露する。第2部は1863年に日本で初めて、海外から来日したプロの演奏家が演奏した作品でプログラミング。メンデルスゾーンのピアノ曲「『夏の名残りのばら』による幻想曲」や、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」などの器楽作品、モーツァルトのアリアなどが含まれている。梶野の研究成果を実際に「音」で聴くことのできる貴重な機会といえる。第3部は、ベートーヴェンのスペシャリストであるパールの独奏によるピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」も予定されている。歴史という縦軸に貫かれた内容は聴きごたえ充分。改めて日本の“過去”と“今”のヴァイオリン音楽の多彩さを知ることのできるコンサートになりそうだ。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2022年9月号より)

2022.9/17(土) Hakuju Hall
13:00 第1部 実力派女性奏者たちの競演[室内オーケストラ]
14:20 第2部 1863年プロの演奏家が初めて日本上陸〜その時に演奏された音楽[室内楽]
16:00 第3部 アルフレド・パール ピアノリサイタル[ピアノソロ]
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 
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