ベートーヴェン研究家として知られる音楽評論家・山根銀二の娘として生まれ、パリ国立音楽院でラザール・レヴィに師事。1960年のデビュー以来、国内外で絶え間なく演奏活動を続け、2013年には日本人初のベートーヴェン全ピアノ独奏作品録音プロジェクトを完結させた。そんな山根弥生子が、父の遺したエドウィン・フィッシャー全2巻のLPレコードを耳にして感動を覚えて以来、いつか取り組まねばと思い続けていたJ.S.バッハの“金字塔”を遂に完成させた。長年の経験に培われた指で汲まれる48曲は尽きない音楽の泉。子どもの頃、既に心酔していたというフーガが味わい深い。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2022年8月号より)
【information】
CD『J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻& 第2巻/山根弥生子』
J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻、同第2巻
山根弥生子(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-9230〜9233(4枚組) ¥4950(税込)