新・音楽の未来への旅シリーズ いずみシンフォニエッタ大阪 第48回定期演奏会「知の絢爛」

祝クセナキス生誕100年! 腕利きの奏者たちが難曲に挑む

(c)樋川智昭

 創立22年を迎えるいずみシンフォニエッタ大阪は、現代音楽の多くの難曲に挑戦してきた。そうした難曲中の難曲といえるのがヤニス・クセナキスの作品。今年生誕100年を迎え、建築家でもあった異色の経歴を持つ。

 今回、定期で演奏される12人の弦楽奏者による「アロウラ(大地)」(1971)について、常任指揮者・飯森範親によると「スコアは建築の設計図のようで、山ほどの特殊奏法、演奏不可能な複雑なリズム等々、とにかくヤヤコシイ!! 13分ほどの超難曲の終わり2分ほどのところで、突然オケがまとまりだす。多様性からの一つの纏まりは不安な世界から平和を感じさせる」という。「パリンプセスト」(1979)はピアノと9人の管弦によるピアノ協奏曲。ピアニストの碇山典子は「クセナキスは数学理論に従って作曲した部分が多くありピアノの発想がないので、譜読みがとても難しく謎解きのようなもの」と語る。このほか独奏チェロのための「ノモス・アルファ」(1966)と金管三重奏のための「リネア‐アゴン(リノスとアポロンの音楽競技)」(1972)と難曲が続く。

 もう一つの柱はバルトーク「2台のピアノと打楽器のための協奏曲」。原曲は室内楽のソナタ(1937)だが、バルトークが2管編成のオケ用に編曲したもの。今回は川島素晴が再編曲したバージョンで演奏する。打楽器奏者の山本毅は「この曲も完璧な演奏は不可能に思える部分が多い。室内楽版は何度もやったが、協奏曲版は長年の夢。念願かなって嬉しい」と語る。難曲揃いのプログラムに挑戦するシンフォニエッタ団員の意気や高し。7月の公演本番がますます楽しみになってきた。
文:横原千史
(ぶらあぼ2022年7月号より)

2022.7/2(土)16:00 住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188 
http://www.izumihall.jp