鈴木大介(ギター) Hakujuギター・フェスタ2014

ギターが紡ぐフランスのエスプリ

 「フランスのギター音楽を、しかもこれだけ幅広い時代にわたって取り上げることは珍しいですし、さまざまなタイプのギタリストがいる日本だからこそ実現したプログラムなんだと思います」
 こう語るのは、自身も出演者に名を連ねる鈴木大介。9回目を迎える夏のギター音楽の祭典『Hakujuギター・フェスタ』は、フランスをテーマに行われる。多岐にわたるプログラムはバロック音楽に始まり、近現代作品、フレンチ・ジプシーのマヌーシュによるジャズなどジャンルを超えた内容だ。サティやラヴェル、ジャンゴ・ラインハルト、ローラン・ディアンスなどの作曲家が並ぶ音楽祭は、フランス本国を含め、欧米でも珍しいらしい。1日目のスタートは華麗なダンス付きのコンサートから。
「もともと庶民の踊りや歌を伴奏する楽器だったギターは、あるときから宮廷に入り、ルイ14世は毎晩のようにド・ヴィゼのギター演奏を聴いていたというエピソードがあるほど。1日目(8/22)はダンスも加わり、通奏低音楽器としても重用されていたギターの姿を見ることができるはずです。2日目(8/23)夜公演の前半は、ジャンゴ・ラインハルトというスターを生み出したマヌーシュの音楽がテーマ。ヨーロッパでもここ10年ほどギター・フェスで注目されていますから、まさにギター界の新しい流れでしょうね」
 鈴木大介は2日目夜公演の後半に登場するが、意外なことにギター・フェスタでのソロ演奏は少なく、9回目にして初のリサイタルだという。
「バロックに始まり、ディアンスが編曲したシャンソンまで、主に20世紀を中心とした選曲ですが、特に近代のルーセルやフランセなどに注目を。彼らがギターの曲を書いた背景には、アンドレス・セゴビアという名手の存在があります。そのせいか演奏の難易度は高く、フランセなんてスピードが速い武満みたい。しかしフレンチ・ギターの流れにおいてここははずせませんし、一般のクラシック音楽リスナーとは貴重な接点になるでしょう」
 このほかにも、日本とヨーロッパのトレンドを知ることができる2人のギタリストのリサイタル(8/23小暮浩史、8/24マルシン・ディラ)、荘村清志と福田進一を中心とした恒例のデュオやクァルテットも。さらには初の試みとして楽譜やグッズ販売などを行う「ギター・マルシェ」も、2日目と3日目に開催する。ギターが気になる人は、毎回の“ギター・フェスタ皆勤者”もビギナーも、迷わず会場へ。
取材・文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)

Hakujuギター・フェスタ2014 “フレンチ・ギターの魅力”
8/22(金)19:00 フレンチ・ギターの源流
8/23(土)15:00 旬のギタリストを聴く 小暮浩史
8/23(土)18:30 パリのカフェ 
8/24(日)15:00 ヌーヴェル・ヴァーグ〜新しい波
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
http://www.hakujuhall.jp