フレッシュな感性が冴える個性的な演目
近年、才能溢れる若手実力派を続々と輩出している日本のチェロ界。2011年に若干17歳で日本音楽コンクールを制し、現在ミュンへン音大に留学中の岡本侑也もそんな有望株の一人だ。
当公演は、今注目の若手に光をあてる人気シリーズの第5回。演目には、19世紀ドイツ(ベートーヴェン「ソナタ第3番」&シューマン「幻想小曲集op.73」)と、20世紀フランス(デュティユー「ザッハーの名による3つのストローフェ」&プーランク「ソナタ」)の個性的な傑作が並ぶ。岡本の持ち味は、高度な演奏技術を持ちながらも、それをひけらかすことがない自然体のアプローチ。ベートーヴェンの情熱と緊張、シューマンのノスタルジー、デュティユーの色彩と抒情、そしてプーランクのシニカルな微笑みを、徹底してノーブルに歌い上げることだろう。しかも今回の共演ピアニストは作曲と演奏の両面で経験豊富なベテラン、寺嶋陸也。まさに「竜に翼を得たる如し」、期待せずにはいられない。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)
7/30(水)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp