沼尻竜典(指揮)トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ

共鳴しあう2つのレクイエム


 知将・沼尻竜典の呼びかけにより、NHK交響楽団をはじめ国内外のオーケストラから選りすぐりの若き名手たちを集めて、1995年に結成されたトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ。今回の定期では、音楽監督の沼尻のタクトで、日本を代表する作曲家である武満徹と、夭折の天才作曲家モーツァルトによる2つの「レクイエム」を核に据えた。武満の「弦楽のためのレクイエム」は、濃密な弦の響きが感動を呼ぶ初期の傑作。ここに、バロック期以来の伝統が生きる“モツレク”が、時空を超えて共鳴する。モーツァルトで共演する栗友会合唱団とは、やはり武満の「混声合唱のための『うた』」から「翼」も。さらに、沼尻自身の編曲で武満の「MI・YO・TA」と、やはり日本を代表する作曲家で、沼尻の師でもある三善晃がカーネギーホール100周年記念で委嘱された「弦の星たち」(ヴァイオリン独奏・水谷晃)を組み合わせる。古典と現代、器楽と声楽に精通した沼尻ならではのラインナップ。多彩な響きの波に揺られよう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2014年6月号から)

第67回定期演奏会
7月27日(日)三鷹市芸術文化センター風のホール
問:三鷹市芸術文化振興財団0422-47-5122 
http://mitaka-art.jp/ticket