インゴ・メッツマッハー(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

怪傑マエストロとスーパー・トランペッターの共演

 2010年11月に初めて新日本フィルの指揮台へ登場。チャイコフスキー、ショスタコーヴィチ、R.シュトラウスなど、どういった曲であっても常に既存のイメージや演奏を刷新。聴き手の期待を裏切らないマエストロ、それがインゴ・メッツマッハーだ。この怪傑マエストロが、新日本フィルの7月の演奏会に登場。ベートーヴェンの「エグモント」序曲と「英雄」交響曲という、文字通りのヒロイックな(そして裏側には深い悲劇が見え隠れする)2作品を聴かせてくれる。もう聴き慣れた名曲…なんて言ってはいけない。そこに強い光を当てて、未知の影を作り出すのがメッツマッハーなのだから。
 さらにソリストとして登場するのは、吹けない曲がないと言われるスーパー・トランペッター、ホーカン・ハーデンベルガー。演奏するのは「誰も知らない私の悩み」という意味深なタイトルが付けられた、演奏時間が15分ほどのトランペット協奏曲だ。作曲者はメッツマッハーもオペラなどを指揮している、ベルント・アロイス・ツィンマーマン。つまり2人の理解者による決定的演奏であり、ドイツ現代音楽の軸となる作曲家を再評価するには格好のチャンスだろう。短い曲ながらも後半にはジャズ風のリズムが音楽を支配するなど、一筋縄ではいかない作品。ハーデンベルガー&メッツマッハーの絶妙な演奏だからこそ、真の音楽像が見えてくるかもしれない。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)

特別演奏会 所沢公演
7/12(土)14:00 所沢市民文化センターミューズアークホール
#528定期演奏会 サントリーホール・シリーズ
7/13(日)14:00 サントリーホール
問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
http://www.njp.or.jp