横浜シンフォニエッタをはじめ、モダン・ピリオド問わず多くの楽団で活躍する長岡聡季。シューマンの連続演奏会を開催中の佐々木崇。彼らの出会いから生まれたアルバムは、多くの人が思い描く“シューマンらしさ”とは一線を画す解釈で構築されている。長岡のヴァイオリンとヴィオラはヴィブラートを控え、フレージングを徹底的に磨き上げる。ロマンに溺れぬストイックさは、“思い込みで作品の姿を歪める”ことを厳しく戒めるかのよう。佐々木のピアノがその思いを支えながら血を通わせる。二人の経験と思考による高純度の解釈で、作品の骨格が浮き彫りになっていく。
文：林昌英
（ぶらあぼ2022年2月号より）
【information】
CD『シューマン：ヴァイオリン・ソナタ第1番＆第2番、おとぎの絵本／長岡聡季＆佐々木崇』
シューマン：ヴァイオリン・ソナタ第1番、同第2番、おとぎの絵本
長岡聡季（ヴァイオリン/ヴィオラ）
佐々木崇（ピアノ）
コジマ録音
ALCD-9229 ¥3080（税込）