ベルリンフィル12人のチェリストたち

変わることのない魅惑のサウンド

 そのパワフルでしなやかなサウンドは、何度聴いてもチェロのみによる演奏だとは信じ難い。結成から今年で42年目。日本で最も愛されている室内楽グループのひとつ、「ベルリンフィル12人のチェリストたち」が2年ぶり13回目の来日公演を行う。彼らは時代の変遷と共にメンバーも世代交代し、近年は女性奏者も参加。だが、持ち前の卓越した技巧と豊かな音色は決して変わることがない。
 今回の来日でも、クラシックの名曲からジャズ、タンゴなどまで、長年にわたって開拓してきた幅広いレパートリーを存分に披露する。前半はJ.S.バッハのブランデンブルク協奏曲第6番と、シューマン「森の情景」から6曲を抜粋。前者は3種類の弦楽器と通奏低音、後者はピアノ・ソロがそれぞれ原曲なので、チェロ12本ならではの新たなカラーリングと歌い回しを期待しよう。そして後半は、J.ウィリアムス、M.ルグラン、ピアソラなど、彼らの十八番であるジャズとタンゴを中心とした豪華なプログラム。そして、「12人」と長年親交の深い作曲家の三枝成彰が、阪神大震災の追悼音楽として書いた「チェロのためのレクイエム」が含まれている点にも注目だ。1998年に神戸で行われた初演(第1回「1000人のチェロ・コンサート」)には、「12人」の創設メンバーが参加していた経緯もあることから、それから15年以上を経た今、洗練や深みがどのように表現されるかも楽しみだ。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2014年3月号から)

(C)Stephan Röhl
(C)Stephan Röhl

★7月6日(日)・サントリーホール
問:ノア・チケット03-3417-7000

他公演 
7/7(月)・京都コンサートホール 
問:プランツ・コーポレーション075-222-7755
7/8(火)・新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ
問:BSNイベントダイヤル025-247-0900
7/9(水)・福岡シンフォニーホール
問:エクローグ音楽事務所0940-42-8747