【CD】アレクサンダー・ガジェヴ〜ライヴ

 去る10月のショパン・コンクール第2位のアレクサンダー・ガジェヴが、その3ヵ月前のシドニー国際ピアノ・コンクール(オンラインで実施)で優勝した際の音源。多彩なレパートリーで、幅広いスタイルを弾きこなす才が発揮されているが、特に印象的なのはロシアもの。彩り豊かでミステリアスな音によるスクリャービン、輪郭のはっきりとした音が生きたショスタコーヴィチ、自然発生的な感性が発揮されたプロコフィエフのソナタ第7番と、それぞれ異なるタッチを多用。リストの「葬送曲」で重く伸びやかな音が溢れ出し、フィナーレを飾る。ステージごとにピアノと録音環境が異なり、その聴き比べも興味深い。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2022年2月号より)

【information】
CD『アレクサンダー・ガジェヴ〜ライヴ』

ショパン:バラード第4番/スクリャービン:「3つの小品」より〈第1曲 アルバムの綴り〉/ショスタコーヴィチ:前奏曲とフーガ第4番/プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番/リスト:「詩的で宗教的な調べ」より〈第7曲 葬送曲〉 他

アレクサンダー・ガジェヴ(ピアノ)

収録:2021年2月、イタリア(ライブ) 他
ユニバーサル ミュージック
UCCD-1483 ¥2750(税込)