千田悦子は、第16回イスラエル国際ハープコンテスト第3位など国内外の登竜門で実績を重ね、ソロや室内楽で活躍する実力派奏者。今年5月に開いたリサイタルのライブ録音である当盤で、フランス近代のハープのためのソロ&室内楽作品を特集している。前半のソロ作品では、ルニエ「バラード第2番」やピエルネ「即興風奇想曲」の清冽な音色と、ラ・プレルの音画「雨に濡れた庭」での湿気を感じさせる音創りとのコントラストが絶妙。後半のアンサンブル曲では、スリリングさを孕んだやり取りが新鮮。単に「優雅」の一言では終わらない、ハープの奥深い魅力を掘り下げてゆく。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年12月号より)
【information】
CD『千田悦子 ハープ・リサイタル 2021』
ルニエ:バラード第2番、ハープ ヴァイオリン チェロのためのトリオ/ラ・プレル:雨に濡れた庭/ピエルネ:即興風奇想曲/イベール:ヴァイオリン チェロ ハープのためのトリオ
千田悦子(ハープ)
加藤えりな(ヴァイオリン)
渡邊方子(チェロ)
収録:2021年5月、東京オペラシティ リサイタルホール(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-7956 ¥2750(税込)