東京文化会館《響の森》Vol.49 ニューイヤーコンサート2022

ロシアとフランスの名曲で彩る新年の幕開け

 毎年1月3日の恒例となっている東京文化会館主催《響の森》シリーズの「ニューイヤーコンサート」が、2022年にも無事開催の予定。明るい一年への希望を感じられる公演になりそうだ。

 その明るさは、まずプログラムから感じられる。快速で楽しいグリンカ《ルスランとリュドミラ》序曲。名旋律とロマンあふれるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。オーケストラの華やかな魅力を満喫できるビゼー「アルルの女」組曲第1番・第2番。ロシアとフランスの心躍る名曲ばかりで、コンサートの喜びに安心して浸れる。

 そして、出演者にも明るい話題が目立つ。指揮者は飯森範親。国内各地の楽団に共演を重ねる、いま最も脂ののったマエストロだ。山形交響楽団や日本センチュリー交響楽団ほかのポストに加えて、21年には東京ニューシティ管弦楽団ミュージック・アドヴァイザー(次期音楽監督)、22年には山響桂冠指揮者にも就任。新しい地位での活躍が期待される飯森にとって、今後を占う重要な新年公演となる。ピアノは萩原麻未。ジュネーヴ国際コンクール優勝、香り豊かな音色と表現が魅力の名手で、出産を経て先ごろ第一線に復帰したばかり。いま新たな境地にある萩原の表現を、人気協奏曲で味わいたい。オーケストラは例年通り東京都交響楽団。音楽監督の大野和士との契約が26年まで延長され、22年ラインナップも非常にユニークで意欲的なプログラムが並び、ますます意気が上がる年になる。彼らの熱い演奏で、清新な一年の始まりを。
文:林昌英
(ぶらあぼ2021年12月号より)

2022.1/3(月)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 
https://www.t-bunka.jp