ホルンの過去と未来をタイム・トラベル!
東京オペラシティの『B→C』は、楽器の魅力を深く楽しみたい人には実に美味しい公演だ。まして今度は「聴くだけでホルン史が体感できる」のだから食指をそそられる。主役の大野雄太は、山形大から東京芸大の別科&大学院を経て新日本フィル入団後、日本音楽コンクール、日本ホルン・コンクールで第1位を獲得し、現在東京交響楽団の首席奏者を務める実力者。
クラシカル・プレイヤーズ東京のナチュラルホルン奏者でもある大野らしく、今回は4種類の楽器で演奏する。コルノ・ダ・カッチャ(狩猟ホルン)で聴かせるバッハも興味深いし、史上初のバルブ・ホルン用作品であることが近年判明したシュンケの曲は、おそらく日本初演ゆえに必聴。他に大野が委嘱し、ナチュラルホルンも加わる佐々木良純作品や、斬新な音とテクニカルな面白さ満載の20世紀作品など、「温故知新の視点も絡め、ホルンの過去と未来を照らしたい」との意気込みがうかがえるプログラム。作曲家たちが楽器の可能性に挑んだ多様な変遷、そして奥深く心地よい音色の変化をぜひ体験したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年6月号から)
★6月24日(火)・東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp