第425回 日経ミューズサロン 国立モスクワ音楽院室内合唱団

ダイナミックでクリアなハーモニー

国立モスクワ音楽院室内合唱団(枠内:アレクサンドル・ソロヴィヨフ)
国立モスクワ音楽院室内合唱団(枠内:アレクサンドル・ソロヴィヨフ)

 4度目の来日となる国立モスクワ音楽院室内合唱団は、国立モスクワ音楽院合唱指揮科の現役学生とその卒業生で構成された合唱団。1994年にボリス・テヴリンによって組織された。今回は35人が来日。2012年に没したテヴリンは、国立モスクワ合唱団のヴラジーミル・ミーニンやモスクワ・アカデミー合唱団のヴィクトル・ポポフらと並ぶ、20世紀のロシア合唱指揮者界の巨匠だった。09年から常任指揮者を務める今回の指揮者アレクサンドル・ソロヴィヨフも、テヴリンの愛弟子であり、この合唱団で歌っていたOBの一人。曲目はチャイコフスキーからラフマニノフ、さらにシチェドリンやグバイドゥーリナなど19世紀末から20世紀を横断する作品に、おなじみのロシア民謡を加えたロシアものはもちろん、緊張気味の外交情勢を音楽で緩和するかのようなブロードウェイ・ナンバーまで多様。ロシアの合唱団ならではの、ダイナミック・レンジの広い、硬質でクリアなハーモニーを楽しみたい。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年5月号から)

★6月23日(月)・日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066 
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