【CD】ブラームス ヴァイオリンとピアノのための ソナタ全集/森下幸路&川畑陽子

 大阪交響楽団の首席ソロ・コンサートマスター、森下幸路と、国内外で活躍するレギュラー・パートナーの川畑陽子による同レーベル5枚目のCD。ブラームスのソナタ全曲が主軸ながらも、シューマン夫妻を含む4つの歌の編曲が佳きアクセントになっている。演奏もしっとりとした味わいが横溢。冒頭の「睡蓮の花」の温かさや優しさに即引き込まれ、豊潤なヴァイオリンと好バランスのピアノによる情感豊かなソナタに終始魅了される。各楽章の描き分けも光り、なかでも第3番の起伏が見事。終結後に流れる「子守唄」の余情も実にいい。トータルなアルバムとして素敵な一枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2021年11月号より)

【information】
CD『ブラームス ヴァイオリンとピアノのための ソナタ全集/森下幸路&川畑陽子

シューマン:「ミルテの花」より〈睡蓮の花〉/ブラームス:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番「雨の歌」・第2番・第3番、「15の子どものための民謡集」より〈砂の精〉、「5つの歌」より〈子守唄〉/C.シューマン:「6つの歌」より〈僕は暗い夢の中にいた〉

森下幸路(ヴァイオリン)
川畑陽子(ピアノ)

ナミ・レコード
WWCC-7955 ¥2750(税込)