【CD】篠田昌伸 現代合唱作品集 街の衣のいちまい下の虹は蛇だ

 野村喜和夫の現代詩に付曲しようとすること自体がなかなかの暴挙(!)だが、篠田昌伸は確かに詩の独自性に拮抗しうる強度のある音楽を作り上げていて、これはぜひとも体感してほしい魅惑的な世界だ。具体的に言えば、野村の3つの詩作が持つ音素同士の遊戯性、そこから発生する多次元に拡散するイメージの乱反射(とある種のおどろおどろしさ)が篠田の筆致によって上手く音楽にトレースされていて、それは詩の効果的な分割と合唱団内でのいくつものレイヤーへの振り分け、歌唱と朗読、奇声に近いような多彩な声のパフォーマティヴな効果などで表現される(何と巻上公一も登場)。面白い!
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年10月号より)

【information】
CD『篠田昌伸 現代合唱作品集 街の衣のいちまい下の虹は蛇だ』

篠田昌伸:混声合唱のための「平安ステークス」、女声アンサンブルのための「この世の果ての代数学」、ソロヴォイス 声楽アンサンブル 超歌唱アンサンブルのための「街の衣のいちまい下の虹は蛇だ」

西川竜太(指揮)
混声合唱団「空」(混声合唱)
女声合唱団「暁」(女声アンサンブル)
巻上公一(超歌唱家)
ヴォクスマーナ(声楽アンサンブル) 他

収録:2006年12月、横浜みなとみらいホール(小)(ライブ) 他
レック・ラボ
NIKU-9038 ¥3080(税込)