音楽監督6シーズン目を迎えた直後に録音された当コンビ初のブラームス。全体にオーストリアのオーケストラの個性を生かした柔らかくしなやかな演奏が展開されている。交響曲第2番は、ふくよかな第1楽章がまさに「ブラームスの『田園』」を感じさせる。こうした自然の香りは案外貴重だ。その後、徐々にエネルギーを増していき、重心が低く力感に溢れた終楽章へ。堂々たるフィナーレは若干意外でもある。「ハイドンの主題による変奏曲」もやはりしなやかで、曲の性格に沿った古雅な趣が魅力的。特に木管の素朴かつ玲瓏な音色が効果を発揮している。コンビ5年の成果を示す好演!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2021年10月号より)
【information】
CD『ブラームス:交響曲第2番・ハイドンの主題による変奏曲/佐渡裕&トーンキュンストラー管』
ブラームス:交響曲第2番、ハイドンの主題による変奏曲
佐渡裕(指揮)
トーンキュンストラー管弦楽団
エイベックス・クラシックス
AVCL-84125 ¥2200(税込)