秋山和慶(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

円熟のマエストロと若き逸材の邂逅

 リーズナブルな価格で名曲が楽しめると人気の新日本フィルの定期演奏会「ルビー」が9月から「すみだクラシックへの扉」へとリニューアル。その第2回に今年80歳を迎えた秋山和慶が登場し、シベリウス「交響曲第2番」を指揮するほか、ショパン「ピアノ協奏曲第2番」を期待の新星エマニュエル・リモルディと共演する。

 シベリウスは秋山が最も得意とする作曲家の一人。広島交響楽団音楽監督・常任指揮者時代の2010年に交響曲第2番をCD録音したほか、15年から翌年にかけ生誕150年記念として全交響曲を演奏している。今や円熟の境地にある秋山は、北欧の雄大な自然を思わせるシベリウスの世界を大きなスケールで劇的に描くだろう。このほかドヴォルザーク「序曲『謝肉祭』」も演奏される。

 リモルディはルーマニア人の母とイタリア人の父の間にミラノで生まれ、名ピアニスト、エリソ・ヴィルサラーゼに師事した。トップ・オブ・ザ・ワールド国際ピアノコンクールでは、ショパン、ルービンシュタイン、エリザベート王妃の各国際コンクールの覇者を退け見事優勝を果たした。マンハッタン国際音楽コンクールのグランプリも受賞、審査委員長のイーヴォ・ポゴレリッチからポゴレリッチ賞も授与された。名匠パウル・バドゥラ=スコダは「彼の演奏には、若々しいフレッシュさと活力、そして年齢以上の成熟度が備わっている」と絶賛した。作品の魂と自己の魂を共鳴させる深い解釈を聴かせるリモルディのショパンに期待したい。秋山は協奏曲の合わせの名人でもあり、リモルディには心強いことだろう。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2021年10月号より)

すみだクラシックへの扉 #02
2021.10/8(金)、10/9(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp