ホーネックの至芸を刻印する八面六臂のステージ
2017年から紀尾井ホール室内管弦楽団(KCO)の首席指揮者を務めるライナー・ホーネック。ウィーン・フィルでは1992年以来30年間にわたってコンサートマスターを務め、現在では最年長のコンサートマスターとして楽団を率いている。KCOでも、これまでに、ウィーン古典派の作品を中心に、指揮だけでなく、ヴァイオリンの妙技も披露してくれた。21年度はホーネックにとって2期5年にわたるKCO首席指揮者としての集大成のシーズンとなる。9月の定期演奏会では、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾き振りする。
同曲は、交響曲のように充実したオーケストラとそれに対峙する独奏ヴァイオリンによって奏でられるが、弾き振りするのは極めて稀である。CD録音もジョセフ・スウェンセンなど数点ある程度。ホーネックが、指揮者なしでも演奏を行っているKCOを余程信頼しているから可能なのだろうし、彼にとってもブラームスの弾き振りはチャレンジに違いない。両者の室内楽的なコミュニケーションが聴けるであろう。
今回は、中止となった第122回定期演奏会(20年6月)のプログラムを引き継ぎ、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と同時代に書かれたドヴォルザークの管楽セレナードやブルックナーの弦楽五重奏曲よりアダージョも演奏される。管楽合奏曲と弦楽合奏曲で、名手揃いのKCOの管楽セクションと弦楽セクション、それぞれの魅力を味わうことができる。
文:山田治生
(ぶらあぼ2021年9月号より)
第127回 定期演奏会
2021.9/17(金)19:00、9/18(土)14:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp
https://kioihall.jp