本田ゆりこは国立音大大学院を修了後、海外留学を経て、プロとして活躍しながら現在は東京藝大大学院研究生として更なる研鑽を積むソプラノ。学びの歩みを止めることのない彼女のデビュー・アルバムは、超絶技巧を駆使した〈夜の女王のアリア〉や〈今の歌声は〉などの名曲を集めたもの。収録曲は声と技術に高い要求を求められるものばかりだが、本田はそれらを気負うことなく、美しくコントロールされた声、ニュアンスの豊かな表現でまとめあげている。そのため重量級の内容にもかかわらず“重さ”はなく、タイトル通り“カプチーノ”を楽しむような感覚で音楽に浸ることができる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年7月号より)
【information】
CD『カプチーノ/本田ゆりこ』
J.S.バッハ:「コーヒー・カンタータ」より〈ああ!なんて珈琲は甘いのかしら〉/モーツァルト:歌劇《魔笛》より〈復讐の炎は地獄の様に我が心に燃え〉/ロッシーニ:歌劇《セビリアの理髪師》より〈今の歌声は〉/ヴェルディ:歌劇《椿姫》より〈乾杯の歌〉/R.シュトラウス:献呈、明日!/サルトーリ:コン・テ・パルティロ 他
本田ゆりこ(ソプラノ) 水野彰子(ピアノ)
植木昭雄(チェロ) 金山京介(テノール)
妙音舎
MYCL-00010 ¥3300(税込)