小林侑奈は桐朋学園大学卒業後、イタリアで研鑽を積んだピアニスト。日本とイタリアを中心に演奏活動を展開し、ソリスト、室内楽奏者として確かな存在感を示している。そんな彼女のデビュー盤はイタリアにフォーカスした内容。レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」やリストの「ペトラルカのソネット」など、豊かな旋律性と美しいハーモニーの作品が並ぶが、タールベルクやリゲティなどの技巧的で先鋭的な響きの楽曲を効果的に織り交ぜ、よくある名曲集とは一味違うプログラムを構成。歌心に溢れ、舞曲を得意とするリズム感の良さが光る演奏は作品の魅力を余すことなく伝える。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年6月号より)
【information】
SACD『ドルチェ・フェリーチェ/小林侑奈』
バッハ/ヴィヴァルディ:シチリアーノ/レスピーギ:6つの小品より、リュートのための古風な舞曲とアリア第3集〜シチリアーナ/リスト:ペトラルカのソネット第123番/タールベルク:ベッリーニ《ノルマ》〜清らかな乙女よ/ベリオ:水のピアノ/リゲティ:フレスコバルディへのオマージュ 他
小林侑奈(ピアノ)
アールアンフィニ
MECO-1062 ¥3300(税込)