感謝の想いを音の花束に込めて
山元香那子は国立音楽大学大学院を修了後、ソリストとして活発な演奏活動を行いながら社会貢献活動にも積極的に取り組み、国内外のコンクールで上位入賞を果たすなど、さらなる研鑽を積んできたピアニスト。混声コーラスグループ「FORESTA」のピアニストとしてテレビへの出演、そしてジャンルを超えたレパートリーを国内外で年間100公演以上演奏してきた。今年「FORESTA」とはテレビ出演のみとし、ソロ・ピアニストとしての活動にシフトする。その新たなスタートにふさわしく、デビュー・アルバム『Bouquet』をリリースする。
シベリウスの「花の組曲」から「カーネーション」に、花言葉が題材となっているラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」をはじめ、クロアチアの女流作曲家ドラ・ペヤチェヴィチの「花の一生」から「ばら」など、演奏機会の少ない作品も含めた、“花”にまつわる美しいピアノ曲を花束のようにまとめたディスクだ。
「花束を受け取ったときのようなみずみずしい感動や喜びを多くの人に感じていただきたいという想いから、今回の選曲とタイトルが決まりました。もともと花が大好きで、実際にフラワーアレンジメントも勉強しているのですが、アレンジメントをするように、さまざまな国と季節の“花”の曲を並べました」
花にまつわる作品を中心としつつ、日本の名曲、そしてリストのヴィルトゥオジティあふれる作品も収録。それはあたかも美しい花のためにある素晴らしい花瓶のような役割だ。
「この10年間、FORESTAのメンバーとして日本の作品を大切に演奏してきました。私自身にとって日本の作曲家や作品は欠かせない存在になっていましたし、何より今回はFORESTAの活動を通して関わった多くの方への感謝の想いも込めたいと思い、日本の名旋律を最初と最後に置きました。レコーディング中も心の中で歌いながら演奏したので、その想いが伝わればうれしいです。リストは幼いころからの憧れの作曲家。大学院ではリストを研究していました。今回収録した『森のささやき』や『ラ・カンパネラ』は、これまで様々な場で演奏してきた大切な作品です。ピアニストとしての私を知っていただきたいという想いも込めてレコーディングしました」
ひとりのピアニストとして新しいスタートを切った今、この美しい花束のように織り上げられたデビュー・アルバムと共にさらなる飛躍を遂げることであろう。
「今回のアルバムを作るにあたって、プロデューサー、調律にカメラマン、そしてジャケット写真用のお花をご提供くださったフラワーアレンジメントの先生など、本当にたくさんの方が関わってくださいました。素晴らしい音質で“花束”のようにしていただいた私の想いと演奏が、多くの方々に届くことを願っています。また生演奏でもたくさんの方に音楽の喜びを感じていただけるよう、活動を広げていきたいですね」
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年6月号より)
山元香那子 ピアノリサイタル
2021.9/23(木・祝)13:30 サントリーホール ブルーローズ(小)
5/19(水)発売
問:Bouquet of sounds 070-8362-3358
http://yamamotokanako.com
SACDハイブリッド『Bouquet』
アールアンフィニ
MECO-1063 ¥3300(税込)
5/19(水)発売