冒頭に置かれた、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番の「アルマンド」から、いきなり衝撃的だ。1音1音が包含する揺らぎによって、良く知る傑作が全く異なる空気感を纏い、“バッハでありつつ、バッハでない何か”に変容させてしまう。ジャンルを超越した活動で邦楽界に新風を吹き込む、若き箏の革命者・LEO。当盤は、ダウランドからドビュッシー、ケージ、ライヒ、坂本龍一に、先駆者・八橋検校や現代日本の藤倉大まで、編曲と箏のオリジナル作品を共鳴させる、多彩かつ自在なセレクトで臨んだ。確かな技巧と魅力的な美音、新たな表現を切り拓く先鋭性。ここには、箏の未来がある。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年5月号より)
【information】
CD『In A Landscape/LEO』
J.S.バッハ:アルマンド/ダウランド:涙のパヴァーヌ/藤倉大:竜/八橋検校:みだれ/ドビュッシー(冷水乃栄流編):「版画」より〈塔〉/坂本龍一(篠田大介編):1919/ライヒ:Electric Counterpoint Ⅲ.Fast/ケージ:In a Landscape 他
LEO(箏)
沢井一恵(十七絃箏)
森梓紗(低二十一絃箏)
伊藤ハルトシ(チェロ)
角野隼斗(ピアノ)
日本コロムビア
COCQ-85523 ¥3300(税込)