新日本フィルハーモニー交響楽団 思う心のコンサート

名匠と作り上げる、希望に満ちたステージ


 2021年3月で発生から10年を迎える東日本大震災に思いを寄せ、コロナ禍に苦しむ今こそ、いかに“音楽”が人々の心を救い、明るい未来を創るかを示したい。熱い気持ちを中部エリアから発信しようと、東海市芸術劇場が開く「思う心のコンサート」。クリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団が思いを調べへと紡ぐ。

 「私たちの心象に、未だ影を落とす東日本大震災。だが、未来はモノクロではなく、鮮やかに彩られるべき。そして、コロナ禍にある今も、“音楽”がいかに必要かを体感しました」と同劇場の安江正也・館長兼芸術総監督。「これは“忘れない”と同時に、“前に進む”ポジティブなコンサートです」と意図を語る。

 この思いを音楽にするのが、ウィーン出身でルツェルン歌劇場などのシェフを歴任、我が国でも人気の高い指揮者であるアルミンクに率いられた新日本フィル。03年〜13年まで同楽団の音楽監督を務めた名匠との、久々の共演に注目だ。

 ステージは、まず、マーラーの交響曲第5番から第4楽章「アダージェット」で幕開け。弦楽合奏とハープによる、愛と癒しに満ちたサウンドで心を包み込む。

 そして、ソロ・コンサートマスター崔文洙(チェ・ムンス)の独奏で、名旋律と技巧、そして喜びに満ち溢れたブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏。メインには、やはりブラームスの交響曲第1番を据え、苦悩からまばゆい光へと向かってゆく楽想で、“明るい未来”を描き出す。

 また、開演15分前からのプレコンサートには、東海市子どものオーケストラが登場。アルミンク指揮で、エルガー「威風堂々」第1番を披露する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年2月号より)

*新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴い、クリスティアン・アルミンクが来日できなくなったため、代わって井上道義が出演いたします。
また指揮者変更に伴い、プログラムの一部が変更になりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2021.3/6(土)16:00 東海市芸術劇場
問:東海市芸術劇場0562-38-7030 
https://www.tokai-arts.jp