4人の名手が奏でる珠玉のベートーヴェン
ヴァイオリンのソリストにとって、ベートーヴェンといえば自ずと協奏曲と10曲のソナタが中心レパートリーになる。しかし、日本を代表するヴァイオリニストとして半世紀以上も第一線を走り続けてきた前橋汀子は、そこに留まらなかった。この作曲家の奥義ともいうべきジャンル、弦楽四重奏曲に挑戦するために、クァルテットを結成。しかも、その領域でも大きな成果を挙げていて、真の芸術家というものの凄みをも見せ続けている。そんな前橋の情熱を支えるメンバーは、久保田巧、川本嘉子、原田禎夫という、やはりソリストであり、室内楽でも第一線で活躍を続ける重鎮たち。万全にして理想の弦楽四重奏団と言えるだろう。
ベートーヴェン生誕250年の今年、彼らは11月末に日経ホールで、第4、11、15番を聴かせる。作曲者の初・中・後期の人気作品が揃い、意気込みの強さは推して知るべし。世の中全体のあり方が変わってしまった今こそ、前橋たちの至芸を、そしてベートーヴェンの究極の世界を体感したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年11月号より)
*本公演の出演メンバーであるチェロの原田禎夫(ドイツ在住)は、新型コロナウイルスによる影響により、ドイツからの長距離移動が難しく控えるべきとの医師の診断がなされ、代わって北本秀樹(元東京フィルハーモニー管弦楽団首席チェロ奏者)が出演します。
曲目が変更となりました
変更前)弦楽四重奏曲 第15番 イ短調作品132
変更後)弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調作品131
2020.11/30(月)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
http://www.nikkei-hall.com