「作品へ生命を吹き込むのに大切なのは、“自分は歌っている”と想像すること」。2011年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで2位入賞、幅広い活躍を続ける小林美樹は綴る。“歌”と“踊り”をテーマに、古今東西の名旋律を集めた当盤。剛柔を巧みに操り、凛とした空気感を創出する「序奏とロンド・カプリチオーソ」、旋律の向こうに言葉を感じさせる武満徹の「SONGS」…変幻自在のプレイに、かつての“天才少女”の円熟を知る。ピアノ坂野伊都子、ギター福田進一のサポートはしなやか。小林が“ピアノ独奏”で添えた楽聖の「悲愴」の緩徐楽章も心地よい余韻をもたらす。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年11月号より)
【information】
CD『アンソロジー/小林美樹』
シューマン(アウアー編):「ミルテの花」より〈献呈〉/サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ/ブラームス(ハイフェッツ編):「5つの歌曲」より第1番〈歌が導くように〉/ヴィエニャフスキ:スケルツォ・タランテラ/武満徹(森山智宏編):「武満徹SONGS」より/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」より第2楽章 他
小林美樹(ヴァイオリン/ピアノ)
福田進一(ギター)
坂野伊都子(ピアノ)
ソニー・ミュージックダイレクト
MHCC-30007 ¥2454+税