【CD】日本の歌を集めて4 南天の花/小松英典&塚田佳男

 心に沁みわたる、美しき言葉と旋律。ドイツ・リートの名手として国際的に活躍するバリトンの小松英典が、日本歌曲研究・伴奏の第一人者、塚田佳男と共に取り組む『日本の歌を集めて』シリーズ。第4弾は、原爆病と闘いつつ、医療活動を続けた故・永井隆の詩による佳品〈南天の花〉を標題に。「コロナ禍の今、最前線にいる医師らの姿が重なる」と小松。心を込めて歌い紡がれる21篇の日本歌曲は、曲ごとに異なる陰影を湛え、言葉一つひとつの意味や語調の違いが、丁寧かつつぶさに掬い取られてゆく。塚田のピアノも、言葉を持つように繊細で多様。声・ピアノ・名歌が三位一体となり、琴線に触れる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年10月号より)

【information】
CD『日本の歌を集めて4 南天の花/小松英典&塚田佳男』

弘田龍太郎:浜千鳥/山田耕筰:葱坊主、南天の花/橋本國彦:富士山見たら/平岡照章:萱野しぐれて/滝廉太郎:秋の月、荒城の月/磯部俶:松の花/平井康三郎:たそがれの旅愁/八洲秀章:あざみの歌/大中恩:秋の女よ/伊藤康英:冬の花 他

小松英典(バリトン)
塚田佳男(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-9213 ¥3000+税