オーケストラからの“音楽のお年玉”
山田一雄や團伊玖磨ら日本音楽界の重鎮たちの熱い魂を受け継ぎ、創立から40年余りを経た神奈川フィル。神奈川県における芸術文化の一端を担う一方、日本各地での演奏活動にも力を注いでいる。ボランティア・コンサートなど地域に根差した地道な企画や、時にポップスへも特化する柔軟な活動ぶりは多方面から注目を浴び、今や他のオーケストラのお手本にもなっている。
さらなる飛躍を目指す新たな年の幕開けを、美しい音楽で彩るニューイヤーコンサートは、このオーケストラを愛する地元の音楽ファンたちへの感謝を詰め込んだ“音楽のお年玉”とも言えそうだ。
今回のニューイヤーコンサートのタクトはもちろん、2009年に常任指揮者へ就任して以来、同フィルに新しい風を吹かせてきた若きマエストロ・金聖響が担当する。ステージではまず、共にショパン国際ピアノコンクールで入賞経験のある高橋多佳子と宮谷理香による「デュオ・グレイス」をゲストに、「白鳥」など有名曲も含むサン=サーンス「動物の謝肉祭」全曲を聴く。金&神奈川フィルとの、丁々発止のやり取りが期待できそう。そして、かつてウィーン国立音大で研鑽を積んだ金が、J.シュトラウスⅡのオペレッタ《こうもり》序曲をはじめ、「美しく青きドナウ」「雷鳴と電光」など、本場仕込みのウィンナ・ワルツやポルカをたっぷりと披露する。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2013年12月号から)
★2014年1月5日(日)・神奈川県立音楽堂 Lコード:34259
問 神奈川フィルチケットサービス045-226-5107
http://www.kanaphil.or.jp