進化したオーケストラと前音楽監督とが起こすケミストリー
6月、東京交響楽団に桂冠指揮者ユベール・スダーンが帰ってくる。プログラムはベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲、イノン・バルナタンを独奏に迎えたピアノ協奏曲第3番、そしてメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。同楽団音楽監督時代にスダーンはクラシカルなレパートリーを重点的にとりあげて、オーケストラの基礎体力を鍛え上げた。その財産は、音楽監督がジョナサン・ノットに変わった今もまちがいなく生きている。と同時に、オーケストラはスダーン時代からさらなる飛躍を遂げている。スダーンによる今回のプログラムは、すでに手の内に入れた十八番を披露するというだけではなく、進化した東響と前音楽監督の組合せから、新たな化学反応が起きるのではないかという期待を抱かせる。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番でソロを務めるバルナタンは、イスラエル出身で現在はニューヨークを拠点として活躍するピアニスト。これまでの来日公演でも協奏曲とリサイタルで好評を獲得している。アラン・ギルバートに才能を認められ、2014年から3シーズンにわたってニューヨーク・フィルの初代アーティスト・イン・アソシエーションを務めた。録音でも同曲をギルバートと共演しているが、みずみずしく感受性豊かで、洗練されたベートーヴェンは聴きごたえ十分。ぜひとも実演で聴いてみたいピアニストだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年6月号より)
*出演者が確定しました。(6/5主催者発表)
指揮:飯守泰次郎 ピアノ:田部京子
*新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う出入国制限により、指揮者ユベール・スダーンと、ピアニスト イノン・バルナタンの来日を中止することとなりました。代役は現在調整中です。(6/2主催者発表)
第681回 定期演奏会
2020.6/26(金)19:00 サントリーホール
川崎定期演奏会 第76回
2020.6/28(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
https://tokyosymphony.jp