サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団で活躍し、早くから後進の指導にも力を入れてきたベテラン・チェリスト松波恵子と、2002年のデビュー以来、国内でも活躍めざましいピアニスト川村文雄による、世代を超えた絶品デュオの好盤が登場。まるでこの二人のために書かれたかのような冒頭シューマンの幻想小曲集＆トロイメライから心を掴まれてしまう。ましてやフォーレ、メンデルスゾーン、サン＝サーンスなどの“定番”は言わずもがな。特にこの二つの楽器をこよなく愛したショパン作品では、それぞれを響かせつつお互いが聴き合う様子が圧巻で、染み入る。
文：東端哲也
（ぶらあぼ2020年6月号より）
【information】
CD『浪漫への誘い／松波恵子＆川村文雄デュオ』
シューマン：幻想小曲集 op.73、「子供の情景」より〈トロイメライ〉／フォーレ：夢のあとに、エレジー／メンデルスゾーン：無言歌 op.109／グラズノフ：吟遊詩人の歌／サン＝サーンス：白鳥／ショパン：序奏と華麗なるポロネーズ、チェロ・ソナタ 第3楽章
松波恵子（チェロ）
川村文雄（ピアノ）
N＆F
MF23803 ￥2800＋税