これまでにショパンのマズルカ、ポロネーズ、ノクターン、エチュード、バラード&即興曲と、精力的にショパンの作品集をリリースしてきたスイス出身のカール=アンドレアス・コリーが、ワルツ全曲を録音した。なんといってもその柔らかな躍動感、ハーモニーの変化を繊細に捉えた移ろいゆく気分、そして旋律線どうしの立体的な表現が、聴く者の心を存分に踊らせてくれる。録音は全体にまろやかな音質で、華やかなフレーズも硬質に響かず、とてもリリカル。喜び溢れるワルツから、メランコリックな表情のワルツまで、全19曲にわたり落ち着いた佇まいの推進力が美しい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2020年3月号より)
【information】
CD『ショパン:ワルツ集(全曲)/カール=アンドレアス・コリー』
ショパン:ワルツ第1番〜第19番
カール=アンドレアス・コリー(ピアノ)
マイスター・ミュージック
MM-4073 ¥3000+税