楊麗貞は桐朋学園大学を卒業後、国内はもちろんポーランドに米国、そして台湾やシンガポールで演奏活動を展開してきたピアニスト。その演奏活動の中心には絶えずショパンの作品があり、ショパン国際ピアノコンクールでのディプロマ獲得や第1回日本ショパン協会賞受賞など、彼女の奏でるショパンは多くの場で高く評価されてきた。それはやはりショパンの魂を伝えてくれるような凛とした響きの音色、内に秘めた情熱を感じさせる豊かな歌心にあろう。特に今回のディスクの核である4曲のバラードや夜想曲では、繊細な音色のコントロールや絶妙なルバートといった巧みな表現を楽しめる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年3月号より)
【information】
CD『ショパン:4つのバラード/楊麗貞』
D.スカルラッティ:ソナタ K.202/モーツァルト:ピアノ・ソナタ第3番/ショパン:夜想曲第16番・第17番、バラード第1番〜第4番
楊麗貞(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7916 ¥2500+税