オペラシアターこんにゃく座の大石哲史が、喉の手術から復帰して新録音した同劇団音楽監督・萩京子のソング集。寺山修司からまど・みちお、ブレヒト、ロルカ、シェイクスピアの訳詩まで、各テキストが語る年齢を想定して12〜88歳まで順に綴る。合唱曲からコンサートピース、劇中歌と曲想も様々だが、まるで朗読を聴いているかのように言葉が心に届く。儚くも美しい金子みすゞ〈ゆめ売り〉、37歳で病に倒れた宮澤賢治〈まなこをひらけば四月の風が〉、究極のラヴソングでもある谷川俊太郎〈しぬまえにおじいさんのいったこと〉などは思わず涙がこぼれ落ちる。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年11月号より)
【information】
CD『大石哲史・萩京子をうたう…12才〜88才…うたかたのジャズ』
萩京子:鳥、飛行機よ、一つぶよ、ゆめ売り、木のグリーンによせる朝の挨拶、すももの歌、まなこをひらけば四月の風が、ほんとうにすきなもの、あくび、馬、枯れたオレンジの木のシャンソン、花火が終わると、手、しぬまえにおじいさんのいったこと、フェステの歌 他
大石哲史(うた/ピアニカ/リコーダー)
服部真理子(ピアノ)
橋爪恵一(クラリネット)
コジマ録音
ALCD-7244 ¥2800+税