角田鋼亮は管弦楽にオペラにと、着実にキャリアを積み上げている実力派だ。今年4月にセントラル愛知響の常任指揮者に就任。これはその記念演奏会の模様だが、両者は2005年より共演を重ねており、すでに十分な意思疎通が取れているようだ。ラフマニノフの交響曲第2番は落ち着いたリードで引き締まったサウンドを作り、丁寧に進める。旋律は甘く伸びやかに歌い、ここぞというところではパンチを効かせてメリハリを付ける。6つの国の音楽の特徴を捉えたモシュコフスキの組曲「諸国から」は、それぞれをきっちり描き分けながらパリッと鳴らしている。ブレのない正統的な解釈で、充実の仕上がりだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年10月号より)
【information】
CD『ラフマニノフ:交響曲第2番、モシュコフスキ:組曲「諸国から」/角田鋼亮&セントラル愛知響』
ラフマニノフ:交響曲第2番
モシュコフスキ:組曲「諸国から」
角田鋼亮(指揮)
セントラル愛知交響楽団
収録:2019年4月、愛知県芸術劇場コンサートホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00701 ¥3000+税