ロシアで培った比類なき音楽性にいっそうの磨きがかかる
松田華音は4歳からピアノをはじめ、6歳のとき、教室を訪れたロシアの音楽学校の先生の目に留まって、母親とともにモスクワへ渡った。翌年、モスクワ市立グネーシン記念中等(高等)音楽専門学校ピアノ科に首席入学。音楽だけでなく全教科にわたる総合教育を受け、いずれにも好成績を収めながら次々とコンクールを制覇する。10歳になる頃には堂々とオーケストラと渡り合っていた。日本でも本格的にステージに立つようになったのは6年ほど前からだろうか。筆者は初めて聴いたとき、彼女が心から音楽を感じて生き生きと表現しているのに驚いた。近年の進境はさらに著しく、今や押しも押されもしないロシア・ピアニズムの具現者だ。今回は、深い内面性にあふれたベートーヴェンの最後から2番目のソナタ、キャラクターの弾き分けが要求されるシューマンの「謝肉祭」、そして本場仕込みのチャイコフスキーを弾く。彼女の今をぜひ確かめてほしい。
文:萩谷由喜子
(ぶらあぼ2019年7月号より)
2019.8/6(火)19:00 ヤマハホール
問:ヤマハ銀座ビルインフォメーション03-3572-3171
https://www.yamahaginza.com/hall/