日本で聴けるショスタコーヴィチの極北と言うべき豪演を繰り広げる、ラザレフ指揮日本フィルのライヴ。第12番は冒頭から気迫に満ち、第1楽章の強烈な推進力と壮絶な爆発に興奮。第3・4楽章の全奏のエネルギーも凄まじく、全てをなぎ倒すように進む結尾の“勝利の行進”は空恐ろしくなるほど。このコンビの長所が詰まった名演だ。第15番は繊細さと緻密さが要求される難曲だが、初演のリハーサル現場にいたというラザレフが、熱気と冷気が両立した緊張感で、鋭くもニュアンス豊かな好演を実現。彼らのショスタコーヴィチ交響曲録音も半分を超え、今後もさらに期待したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
CD『ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」&第15番/ラザレフ&日本フィル』
ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」、同第15番
アレクサンドル・ラザレフ(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
収録:2018年11月、16年7月、サントリーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00694 ¥3000+税