飯森範親と日本センチュリー響のハイドン全集第7弾。モダン楽器を使いながら、歴史的情報を取り入れ、チェンバロも通奏低音で使う。斬新で現代的なハイドン。アンサンブルは上質で、透明な響きが美しい。交響曲第37番は最初期の作品だが、転調や対比の構築に後年の作品を予感させる。第78番は中期のハ短調作品で、管楽器の扱いが巧みで、むしろ明るさや楽しさが際立つ曲だ。第16番はフガートやバスの動きに工夫があり、爽やかな運動性もある。第100番「軍隊」では、細部まで緻密なテクスチュアが、野卑なほどの軍楽の響きと対置されることで、演奏の洗練ぶりがより強く印象づけられる。
文:横原千史
(ぶらあぼ2019年6月号より)
【Information】
SACD『ハイドン:交響曲集Vol.7/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第37番・第78番・第16番・第100番「軍隊」
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2017年3月&8月、いずみホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00692 ¥3200+税