そのサウンドに、私たち日本人が郷愁を覚えるのは、なぜなのだろう。ウィーン・フィルの大ベテラン・ファゴット奏者のミヒャエル・ウェルバが、10人の若き弦楽奏者をはじめ、同僚たちと結成したアンサンブル「ウィーン・クラシックス」。ウェルバの“吹き振り”で収録されたモーツァルト作品集は、弦楽器の細やかなヴィブラート遣いやウィーン・スタイルの管楽器の独特の音色が際立つなど、小編成ならではの滋味に溢れている。まさにウィーン・フィル・サウンドのエッセンスで、“音楽の街”の伝統そのものと言えよう。2009年に発表された、日墺交流140周年記念盤の新リマスタリング。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年3月号より)
【Information】
CD『モーツァルト:ファゴット協奏曲&交響曲第29番 他/ウィーン・クラシックス』
モーツァルト:交響曲第1番・第29番、ヴァイオリン協奏曲第4番、ファゴット協奏曲
ウィーン・クラシックス
ミヒャエル・ウェルバ(指揮/ファゴット)
ダニエル・フロシャウアー(ヴァイオリン)
マイスター・ミュージック
MM-4050 ¥3000+税