飯森&センチュリー響のハイドン・シリーズ第5弾。第50番は、引き締まった力感が横溢する中に、こまやかなニュアンスや優美さが漂う。第70番も同様で、各声部のバランスがよく、「ジュピター」交響曲の先取りをなす第4楽章の精緻なフーガは特に聴きものだ。第2番、第9番も丁寧な造作で、レアな曲の特質が明示される。第88番は、オーセンティックな表現と晴れやかな活力を共生させた好演。第4楽章ではハイドンの魅力が全開となり、最後の畳み込みにも圧倒される。1枚単位のリリースによって、こうした作品をじっくりと味わえるのも実に喜ばしい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年1月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.5/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第50番・第70番・第2番・第9番・第88番「V字」
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2016年8月&12月、いずみホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00679 ¥3200+税