ジョルディ・サヴァール(ヴィオール) & エスペリオンXXI

即興と舞曲の愉悦──レジェンドが紡ぐスペイン黄金世紀の音楽

 ヴィオラ・ダ・ガンバ(ヴィオール)の名手にして、その復権の立役者であり、古楽ムーヴメントの興隆にも大きな役割を果たしてきた、スペインの鬼才ジョルディ・サヴァール。自らのアンサンブル「エスペリオンXXI」を率いて来日し、ルネサンスからバロックにかけて全ヨーロッパを席巻した「フォリア」と「カナリオ」、2つの舞曲を縦糸、2人のスペイン王による治世を横糸に、しなやかで鮮烈な響きの世界を編み上げる。
バロック前期に隆盛を極めたものの、輝かしい音色で音量に優るヴァイオリン属に弦楽器の主役の座を奪われたヴィオラ・ダ・ガンバ。しかし、サヴァールは半世紀以上にわたり、忘れ去られた技法や楽曲の復活に尽力、その魅力を伝えてきた。1974年には古楽集団「エスペリオンXXI」を創設し、生き生きと血の通った快演を展開。今回、エスペリオンを帯同しての来日は13年ぶり。豊かな響きを纏った音空間が、久しぶりに国内で体感できる。
今回のテーマは、15世紀にイベリア半島で生まれた3拍子の舞曲「フォリア」と、アフリカに近いカナリア諸島に起源を持つ舞曲「カナリオ」。そして、スペイン王カルロス1世と、その息子で、新大陸まで含めた大帝国を築いたフェリペ2世が治めた“黄金世紀”こと15〜16世紀が舞台に。ディエゴ・オルティスやアントニオ・デ・カベソンら、これらの時代に活躍した大作曲家の作品から伝承曲まで、バロック・ハープのアンドルー・ローレンス=キングらとともに自在な即興を交えて披露。グルーヴ感みなぎる熱演に、“古い音楽”の既成概念は覆ってしまうだろう。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年11月号より)

スペイン黄金世紀の舞曲 フォリアとカナリオ 〜旧世界と新世界〜
2018.11/22(木)19:00 浜離宮朝日ホール
問:日本アーティストチケットセンター03-5305-4545
http://www.nipponartists.jp/
2018.11/24(土)15:00 三鷹市芸術文化センター
問:三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122
http://mitaka-sportsandculture.or.jp/geibun/

他公演
2018.11/25(日)伊丹アイフォニックホール(072-780-2110)