栄華を誇ったヴェネツィアの街の息遣いが、確かに伝わってくる。丸山韶は京都市立芸大を経て東京藝大古楽科に学び、国内外で主要アンサンブルに参加する一方、2014年には自身の呼びかけで古楽オーケストラ「La Musica Collana(LMC)」を旗揚げした、若きバロック・ヴァイオリン奏者。当盤ではLMCの盟友たちと共に、アルビノーニの聖俗のソナタやヴィヴァルディのトリオ・ソナタ等に対峙、丁寧かつ愛情ほとばしる快演を聴かせる。イタリア盛期バロックの佳品に新たな命を授ける、明るく透明感あふれる音色。これらの作品にとって何より重要な「affetto(情感)」を伴い、聴く者の心にすっと寄り添う。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年10月号より)
【information】
CD『コン・アフェット 〜ヴェネツィアン・バロックの栄華/丸山韶 & Ensemble LMC』
アルビノーニ:「室内での和声の楽しみ」よりソナタ第5番・第6番、「教会ソナタ集」よりソナタ第4番・第6番/ヴィヴァルディ:「12のヴァイオリン・ソナタ集」よりソナタ第1番、トリオ・ソナタ ハ長調、同ト短調
丸山韶(ヴァイオリン) 島根朋史(チェロ) 金子浩(リュート) 上尾直毅(チェンバロ/オルガン)
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9017 ¥2800+税