ブラームス円熟期の傑作と甘く切ないラフマニノフの魅力を存分に
音楽監督ジョナサン・ノットとの5シーズン目も順調な東京交響楽団。すでに2020年3月までの次のシーズンのプログラムも発表され、ますます好調、快進撃を続けている。ノットが登場する11月定期公演は、ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」とラフマニノフ「交響曲第2番」の大作2曲を組み合わせたプログラム。ロマンティシズム溢れるこれらの作品に、ノットがどのようなアプローチをみせるのか楽しみである。
円熟期のブラームスによる名曲のひとつ「ピアノ協奏曲第2番」は、独奏ピアノとオーケストラが対等に結びつけられた、4楽章構成の交響的な協奏曲。第1番のような重苦しさはなく、ハンガリー・ジプシー風の民族的な要素や、イタリア旅行の経験を反映した明るい色彩感が全体を支配する。
ピアノは、1981年生まれのドイツのヒンリッヒ・アルパース。初来日のアルパースは、ハノーファーとニューヨークのジュリアード音楽院で研鑽を積み、現在はベルリンを拠点に活動している。古典から現代音楽までレパートリーは広い。抜群のテクニックと深い抒情性を備えた彼の演奏に期待が高まる。
そして後半は、ラフマニノフ「交響曲第2番」。むせぶような甘く切ない旋律が繰り返される第3楽章「アダージョ」が有名だが、全曲を通じてしなやかな旋律が大きな起伏を描き、ラフマニノフ熟練の管弦楽法が輝きを放つ。ノットの明晰な指揮で、東響の弦楽器の艶やかな音色や管打楽器の明快さが、壮大な音楽のなかで際立つだろう。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2018年11月号より)
第665回 定期演奏会
2018.11/3(土・祝) 18:00 サントリーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
http://tokyosymphony.jp/
第110回 新潟定期演奏会
2018.11/4(日)17:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
問:りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521
http://www.ryutopia.or.jp/