“フルートの神様”を讃えて
現代日本を代表する作曲家の1人で、邦楽の和声や技巧を採り入れた独特のサウンドを構築した廣瀬量平の逝去から、今年で10年。生前の廣瀬が多くの作品を提供し、創立45周年を迎えた「東京フルートアンサンブル・アカデミー」が、三部作の楽譜出版記念でもある「メモリアルコンサート」を開く。
武蔵野音大のフルート科の指導者たちを核に1974年、創設された同アカデミー。当時は「フルートオーケストラ」という形態自体が珍しく、オリジナル作品はほとんど存在しなかった。しかし、その透明なハーモニーに魅了された廣瀬は、「ブルートレイン」(79年)を皮切りに、編曲を含めて20曲以上に及ぶ作品を生み出した。
今回は、三部作のひとつ「マリンシティ」(80年)に始まり、野口龍のアルト・フルートをフィーチャーした「パーラミターとカーダ」(同)、「リチュアルダンス 典礼風舞曲『雨乞い』」(88年)、「『甘き死よ来たれ』J.S.バッハの旋律による前奏曲、フーガ、終曲」(94/95年)など、傑作を厳選。アカデミーから“フルートの神様”との言葉を贈られた廣瀬の、鮮烈な思いとハーモニーが新たな命を得る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2018年10月号より)
2018.11/11(日)13:30
上野学園 石橋メモリアルホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.jp/