ショパンの愛弟子であり、15歳を目前に夭逝したカール・フィルチュの作品を蘇演する萩原千代のアルバム第2弾。音楽学者ガエフスキーが発見し、2006年に発表された作品が中心。師のショパンやリストによる修正、そして発見者の補筆が加えられた作品も所収。ショパンの「革命のエチュード」のような激しい曲想の影響を受けた「英雄的練習曲」、サロン的で軽やかに明るい「変奏曲」、シューベルトの「魔王」を思わせる「劇的幻想曲」など10作品。萩原のどこか朴訥として、過度な味付けのない演奏が、若くして世を去った天才の面影を想像させてくれる。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2018年9月号より)
【information】
CD『ショパンの愛弟子 若き天才作曲家 カール・フィルチュの世界 2/萩原千代』
フィルチュ:英雄的練習曲、無題(ノクターン)、言葉のないロマンス「さようなら!」、変奏曲、前奏曲とフーガ、アルブムブラット、ノクターン、劇的幻想曲、マズルカ、ヴェニスの別れ
萩原千代(ピアノ)
コジマ録音
ALCD-9188 ¥2800+税